
予防歯科とは
むし歯や歯周病によって一度削ったり抜いたりした歯は、元の健康な状態には戻りません。治療技術が進歩しても、ご自身の天然の歯に勝るものはないのです。当院では、痛みが出てから治療するのではなく、お口のトラブルが発生する前に防ぐ「予防」の考えを大切にしています。
当院では、健康を維持するトータル・オーラル・ヘルスケア“to healthcare”と名前をつけ、“患者さまが主役”の予防プログラムを行っています。
当院の予防歯科の基本理念
to healthcareを通して
「悪くなってから行く」場所から「悪くならないように行く」場所へ

いつまでも健やかに過ごすためには、歯とお口の健康が欠かせません。
当院では、歯を削って詰める従来の治療から、いかに悪くならないようにするかを大切にしています。
写真やレントゲンといった各種検査を継続的に行ってその情報を記録・管理することにより、患者さま一人ひとりの状態に合わせ未来を見据えた健康管理を実践しています。
当院の予防歯科の特徴

ヘルスケア型診療を実践し、健康を守り育てるサポート体制
当院は、日本ヘルスケア歯科学会の認証診療所として「健康を守り・育てる歯科医療」を実践しています。ヘルスケア型診療とは、悪くなってから治療するのではなく、口腔内の情報を丁寧に記録・管理し、患者さま一人ひとりのリスクに合わせて予防とコントロールを行う診療スタイルです。病因論の理解、記録と検証、メインテナンス、チーム医療という4つの柱を軸に、疾病を未然に防ぎ、すでにある問題も無理なくコントロールしていきます。恐怖心から歯科受診をためらう方でも、定期検診や生活習慣の見直しを通じて「悪くなる前に防ぐ」ことができれば、安心して通院を続けていただけます。

一人ひとりにあった予防ケアを
当院では、患者さま一人ひとりがご自身の歯とお口の健康を分かりやすく管理できるよう、「歯の健康手帳」をお渡ししています。
口腔内写真とX線写真を定期的に撮影し、ファイリングしたものを手帳としてまとめています。ご来院の際にはこの手帳を一緒にお持ちいただき、診療内容や検査結果をその都度アップデート。過去の状態を振り返りやすくなるだけでなく、これからの治療方針やメインテナンスの計画も立てやすくなります。記録を一緒に共有しながら進めることで、ご自身の変化を実感しながら、より前向きに予防ケアへ取り組んでいただけます。

歯科衛生士の担当制で、一人ひとりに寄り添ったケア
当院では、予防歯科の質を高めるために歯科衛生士の担当制を導入しています。毎回同じスタッフが継続してお口の状態を確認することで、ちょっとした変化にも気づきやすく、より的確なケアやアドバイスにつながります。長期的に蓄積した記録と担当制を組み合わせることで、患者さま一人ひとりのペースや生活背景に寄り添った、無理のない予防・メインテナンスを実現しています。
予防歯科・定期健診が大切な理由

「悪くなってから」ではなく「悪くなる前に」
悪くなってから歯を削って詰めるといった治療はあくまで人工物で修復しただけで歯を元通りに戻せるわけではありません。時間をかけて劣化や再発を避けることは難しく、再度悪くなった時には更に人工物が増えることになり最終的には歯を失うことにつながります。
病気は人によってそれぞれなりやすさが違ったり環境や体調、年齢によっても変わってきます。大切なことは、いかに早くその変化を見つけ先手を打つかということです。
そのためにも、定期健診にて変化の記録と健康の維持をしていきます。
定期健診(メインテナンス)によるメリット
健康寿命を延ばすことにつながる
自分の歯で噛める状態を長く保てるかどうかは、全身の健康と強く結びついています。日本人の平均寿命が80歳を超えるいま、食事や会話を不自由なく楽しめる「健康寿命」をどこまで伸ばせるかが問われています。お口の状態を定期的に確認し、天然歯を一本でも多く守ることが、その土台になります。
むし歯や歯周病の早期発見・治療につながる
むし歯も歯周病も、痛みが出たときにはすでに内部で進んでいます。初期の段階ではしみる・血が出るといったサインすら現れないため、ご自身では気づけません。まだ何も感じない段階で歯科医師の目を通すことが、進行を止める確かな手段です。
費⽤・時間の軽減につながります
進行したむし歯を治すには、回数も費用もかさみます。同じむし歯でも、ごく浅い段階であれば一回の処置で済むケースが大半です。定期健診で早めに見つけることは、お口の負担だけでなく、通院にかかるコストや時間の削減にも直結します。
痛みの少ない治療につながります
予防歯科の大きなメリットは、初期のうちに対応できれば、歯を削る量が少なくなり、痛みも最小限に抑えられる点です。トラブルを未然に防げれば、痛みや口臭といった不快感そのものを経験せずに済みます。
定期健診(メインテナンス)について

健康は常に変化する身体や環境と密接に関わりがあります。
メインテナンスで一番大切なことは、小さな変化を見つける事と当院は考えています。
もちろん、年齢を重ねる事による身体の変化もありますが、むし歯も歯周病、そしてお口の機能も生活環境が大きく関わってくる為、メインテナンスを通じて健康に影響を与える小さな変化を見逃さないように心がけています。
さらに定期的にリスクを評価することによって、定期的にも変化をみていきます。
カリエスリスクアセスメント(=むし歯のなりやすさの評価)について
むし歯(う蝕)は現在、特定の細菌によって引き起こされる感染症ではなく、様々な細菌が関わり合いながら環境の変化によっておこる「非感染症性の病気」と考えられています。むし歯のなりやすさを評価するために、当院では5つの項目に分けて検査を行います。
むし歯のなりやすさを評価するための5つの項目

歯みがき

フッ素化合物

細菌の栄養となる糖

食品や飲料に含まれる酸

唾液
また、このカリエスリスクは常に変化する可能性があるため、定期的に評価を行い、リスクに変化があればむし歯ができる前にリスクの高いところを改善していきます。
歯周病リスク評価について
歯周病もむし歯と同じくプラーク(歯垢)が原因となって引き起こされる病気です。
ただし、歯周病では、体の防御反応である炎症が大きく関わってくるため、個人の体質や遺伝などに左右されます。
そのため、歯周病のリスクを評価するために、4つの検査をしていきます。

家族で歯周病のリスクが高い人がいないか

歯石や歯垢が多いか

炎症の徴候の1つである出血があるか

歯周病菌が好む環境の深い歯周ポケットがあるか
検査後、むし歯のリスク評価と同様に変化がないかを定期的に評価していきます。
to healthcareでは、むし歯のリスク、歯周病のリスクと口の機能の発育や低下を評価し、定期健診(メインテナンス)を通じて健康を守る医療を行っています。
プロフェッショナルケアとセルフケアどちらも大切
どれほど丁寧に歯みがきをしていても、歯と歯のあいだや歯周ポケットの奥には、ブラシだけでは落とせない汚れが残ります。
一方で、歯科医院でクリーニングを受けても、翌日からプラークは再び付着し始めます。片方だけで完結する予防法はなく、ご自宅でのセルフケアと医院でのプロフェッショナルケアを交互に繰り返すことで、お口の清潔が維持されます。
プロフェッショナルケアについて

歯科衛生士が専用の器具を使い、歯面に付着した歯垢や歯石を物理的に除去する処置です。
あわせて、患者さまごとの磨き残しパターンに応じたブラッシング指導も行います。医院で得たケアの効果を次の来院まで持続させるための、セルフケアの見直しもここに含まれます。
TBI(ブラッシング指導)

「歯磨きは生活の基本」と言われるように、正しい歯磨きの習慣は口腔の健康維持に不可欠です。しかし、歯磨きの方法を間違えていては、せっかくの努力も台無しになってしまいます。当院では、患者さま一人ひとりに合わせた歯磨き指導(TBI)を行っています。歯ブラシの選び方や磨き方のポイントなど、歯科衛生士が丁寧にアドバイスいたします。
スケーリング

プラークが石灰化してできた歯石は、ブラッシングでは除去することができません。そこで、歯科衛生士が専用の器具を使って歯石を取り除く処置がスケーリングです。歯石は細菌のすみかになるため、定期的な除去が口腔内の健康維持に欠かせません。当院では、患者さまの口腔内の状態に合わせて、適切な間隔でのスケーリングをおすすめしています。
PMTC

歯の表面に付着した色素沈着や歯垢を徹底的に除去する方法の一つが、PMTCです。歯科衛生士が特殊な器具を用いて、通常の歯磨きでは落とし切れない汚れを取り除いていきます。また、PMTC後の歯の表面は滑らかになるため、細菌の再付着を抑える効果も期待できます。定期的なPMTCは、むし歯や歯周病の予防に役立つと考えられています。
フッ素塗布

ご自宅で普段使用する歯みがき粉などの低濃度フッ素化合物を併用することで、むし歯の発生リスクを減らすことができます。特に、リスクが高い部位や既に初期むし歯になっている部位にはフッ素バーニッシュと呼ばれる特に濃度の高いフッ素を使いむし歯のコントロールを行います。
シーラント

歯の深い溝は歯ブラシの毛先も入りにくく、むし歯になりやすい箇所です。経年的に歯の溝は、摩耗して浅くなる傾向にはありますが、特に歯がはえてすぐは溝も深くむし歯になりやすい為、シーラントと呼ばれる材料を使用して、歯の溝を埋めて浅くする処置を行います。
セルフケア(自宅で出来る予防)について

プラークは食事をするたびに新しく作られ、放置すれば数日で歯石に変わります。
毎日のブラッシングでこのサイクルを断つことが予防の基本です。ただし、ご自身のケアだけではカバーしきれない場所が必ず存在するため、プロフェッショナルケアとの併用が前提になります。
ブラッシング

磨いているのに磨けていないといった問題は回数ではなく、当て方にあることがほとんどです。当院では歯科衛生士が患者さまのお口の中を確認し、汚れが残りやすいポイントとブラシの角度・動かし方を個別に伝えています。ご自身のお口に合った磨き方を一度身につければ、毎日のケアの精度は大きく変わります。
デンタルフロス・歯間ブラシ

歯と歯の間からのむし歯は気づきにくく、痛みやしみなど症状が出てからの治療になることが多いです。デンタルフロスや歯間ブラシの使用はよごれをとることだけでなく、むし歯の早期発見にもつながります。1日1回でも使いましょう。
フッ素

フッ素は溶けてしまった歯を戻すことを促進するとともに、歯を強くする作用があります。市販の歯みがき粉のほとんどに配合されていますが、濃度や使用方法によって効果が大きく減弱するため、患者さまに合った良い使用方法や頻度を説明させていただきます。
食生活の改善

食事は体の健康のためには大切です。小さなお子さまには栄養摂取のために間食も大切なものになります。だらだらと食べることはやめ、間食は時間を区切りましょう。水分摂取はお茶など糖分の入っていないものにして、甘いものは間食の時に一緒に飲むようにしましょう。
口腔機能低下症

口腔機能低下症とは、加齢などの影響によって、お口の感覚や咀嚼(噛む力)、嚥下(飲み込む力)、唾液量などの働きがゆるやかに弱っていく状態をいいます。これらの機能は、食事をしっかり楽しんだり、会話をスムーズに行ったり、毎日を健康的に過ごすうえで欠かせない大切な役割を担っています。
当院では、舌の筋力測定や咀嚼能力の検査などを行い、お口の機能を数値で“見える化”して現状を把握します。その結果をふまえ、必要に応じてトレーニングやケア方法をご提案し、機能の維持・改善をサポートします。測定データは継続的に管理しており、定期健診で振り返ることで、ご自身の変化に気づきやすく、自宅でのケアの意識向上にもつながります。
特に65歳以上の方は保険適用で検査が受けられるため、早めに状態を知り、適切に対策を続けていくことが大切です。
こんな症状はありませんか?
- 噛む力が落ちて硬いものを避けるようになった
- 一回の食事にかかる時間が以前より長い
- 口の中がよく乾く
- 気づくと食べ物をこぼしていることがある
- 飲み込んだはずの食べ物が口に残っている感覚がある
- 話すときに舌がもつれる、言葉が出にくい
口腔機能低下症放置により、将来予想される悪影響
栄養不足と体重減少
食べられるものがやわらかい食品に偏ると、ビタミンやタンパク質が不足しやすくなります。噛む力・飲み込む力が弱まるほど食材の選択肢は狭まり、体重の減少と体力の低下が同時に進みます。
筋力低下と転倒リスクの増加
筋肉の原料であるタンパク質が足りなくなると、身体は生命維持に直結する臓器(心臓や脳)へ優先的に栄養を回し、使用頻度の低い筋肉への供給を絞ってしまうのです。代表的なのは脚の筋肉です。そして脚の筋量が減ると歩行が不安定になり、転倒の危険が高まります。
認知機能の低下
噛む動作には、咀嚼筋の収縮を通じて脳への血流量を増やす働きがあります。噛めなくなるとこの刺激がなくなり、脳の活性化の機会が失われます。栄養不足による脳機能への影響も加わるため、お口の衰えと認知機能の低下は二重の経路でつながっています。
誤嚥性肺炎
飲み込みの力が落ちると、食べ物や唾液が気管へ流れ込む「誤嚥」が起こりやすくなります。口の中の細菌が肺に持ち込まれることで発症するのが誤嚥性肺炎で、高齢者にとっては命に関わる疾患です。
当院でのアプローチ方法
むし歯や歯周病がある場合は、まず治療によってお口の環境を整えることから始めます。そのうえで、口腔機能が低下してきた要因や現在の状態を丁寧に確認し、患者さまに合った機能回復トレーニング(リハビリ)をご提案します。
トレーニング内容は、舌や唇の動きをなめらかにする体操、噛む力を高める練習、唾液の分泌を促すマッサージなど、症状や目的に合わせて無理なく取り組めるものを組み合わせていきます。
また、定期健診ではトレーニングの成果やお口の変化を一緒に確認し、より良い状態を維持できるよう継続的にサポートいたします。
舌圧検査
飲み込む力がどの程度あるのか、機能低下が起きていないかを客観的なデータで確認できるため、ご自身のお口の状態をより正確に把握していただけます。さらに、測定結果を継続して記録することで、口腔機能の変化や加齢による影響を追いかけやすくなり、必要なケアやトレーニングにスムーズにつなげることができます。
お口の健康は、子どもの頃からの積み重ねです

口腔機能低下症は、加齢や生活習慣などにより「噛む・飲み込む・話す」といったお口の機能が衰える状態です。こうした機能は大人になって突然低下するのではなく、成長期にどのように身についたかが将来に大きく影響します。お子さまの頃に、噛む力や舌・口まわりの正しい使い方が十分に育っていない場合、「口腔機能発達不全症」と診断されることがあります。将来のお口の健康を守るためにも、成長段階に応じた早めの確認とサポートが大切です。
